PROJECT
STORY
プロジェクトストーリー

01
ワイヤーハーネス事業

世界初の、高強度アルミ電線を開発せよ。

エンジン領域に適用できるアルミ電線開発に全力を尽くした仲間たちの、チャレンジストーリー

自動車に搭載された多くの電装品や電子部品をつなぎ、電気を伝えているのがワイヤーハーネスである。人間でいうところの血管や神経に例えられるワイヤーハーネスは、まさに自動車の「生命線」だ。近年は自動車の高度化に伴い、電装品や電子部品は機能が拡充し搭載数が増加。当然のことながら、ワイヤーハーネスの搭載量も増加している。さらなる燃費向上のため軽量化が求められるなか、過酷な環境下であるエンジン領域においても、どうアルミ電線を開発していくか。最重要ミッションを担い、成功に導いた仲間たちのプロジェクトストーリーを、ここで紹介しよう。

PROJECT STORY 01

過酷な環境下であるエンジン領域向けアルミ電線を、新たに開発せよ。

話は2010年まで遡る。当時、ワイヤーハーネスの軽量化・低コスト化を目的に、標準アルミ電線を用いての室内ワイヤーハーネスを開発、実車への搭載が始まった。しかし、標準アルミ電線は従来の銅電線に比べ耐振動性が低い。適用範囲は、室内に限られていた。そこで自動車メーカーから「エンジンワイヤーハーネスに使用できるアルミ電線を開発してほしい」との要望を受ける。その頃、高強度アルミ合金電線の開発もスタートさせていた住友電装グループは、実用化に向け前倒しするかたちで、銅電線を超える強度を持つアルミ電線の開発を進めることとなった。2011年、世界初の挑戦。集められたメンバーは皆「やってやろう!」と、活気に溢れていた。

PROJECT STORY 02

アルミ電線をエンジン部分に搭載することの難しさを、どう克服するか。

アルミ電線が着実に自動車に搭載されてきたにも関わらず、なぜエンジン領域には搭載されなかったのか。それは「エンジン」という過酷な環境下に、アルミ電線が耐えるには困難を極めるからであった。揺れる、水が掛かる、高温になる。自動車の耐久性は20年、20万kmとも言われる時代に、本当に切れないアルミ電線を造り出すことができるのだろうか。電線だけではない。ワイヤーハーネスというのは、電線とコネクタ・端子がひとつになって初めて製品となり他の車載品とつなげることが可能になる。耐振動性、耐屈曲性、耐腐食性など、コツコツと検証を重ねながらアルミの弱点を克服していった。

PROJECT STORY 03

評価結果が良好なだけでは「世界初」の証明にならない。徹底した理論構築で、立証する。

エンジンワイヤーハーネスにアルミ電線を搭載する。世界初となる挑戦は、時として慎重さも必要になる。自動車の基本性能である「走る・曲がる・止まる」に直接影響が出ることになり、たとえ現物評価結果が良好でも、それだけでは証明不足と言わざるを得ない。自動車メーカーからも「良い結果が出たのはなぜか?」「既存の銅電線・標準アルミ電線と対比して、どう仕様面・製造工程に変化点があって、どう問題無い事を証明できるか?」といった課題を出された。住友電装の底力は、ここからだ。各分野のエキスパートを集結して、設計面だけでなく製造面や量産品質保証などについても徹底的に妥当性を立証していった。そして、「やってやろう!」と声をあげた日から4年後の2015年春。念願だった量産承認を受けることができたのである。

PROJECT STORY 04

世界で初めて、高強度アルミ合金電線が採用され、自動車に搭載される日。

2015年9月、いよいよ社内量産開始となる。それまで銅電線を用いていたエンジンワイヤーハーネスから、彼らの手によって開発された「高強度アルミ合金電線」が世界で初めて搭載されたことで、軽量化・低コスト化に成功。従来の銅電線対比で約半分の重量低減を達成したばかりでなく、強度と屈曲性能に関しては、銅電線以上かつ標準アルミの約2倍という数値を実現させたのだ。彼らは言う。「電気を伝える導体の金属を変えるということは、変化点が大きく、本当に果敢な挑戦となります。さまざまな課題にぶち当たり、悔しい思いをしながらトライアンドエラーを繰り返し、何年もかけてようやく量産化までこぎ着けました。しかし不思議なもので、振り返ってみると、楽しかった思い出しか浮かんでこないのです。」

PROJECT STORY - SUMMARY 望月さんの言葉

グループ長

望月 泰志

株式会社オートネットワーク技術研究
E&E研究部 ハーネス要素研究室

自動車の未来、ワイヤーハーネスの未来、そして私たちの未来。

つい数年前までは、電気自動車や自動運転というのはここまで進化すると思っていなかったことが、どんどん現実化しています。将来的に見て、今まで以上に多機能になっていくことは間違いありません。私たちが携わっているワイヤーハーネスというのは、安全に電気を伝えるという意味において、ゼロになることはないでしょう。しかしながら、ただあればいいというわけではない。「ないといけない」という付加価値を付けたワイヤーハーネスとして提供していくことが一番大事であると考えています。そのためには、未来へ向けて技術を進める、という強い意志と交渉力を持って開発に取り組んでいかなくてはならない。それが、クルマに乗る楽しみを次の世代へつなげていく、私たちの使命であると思うのです。

※株式会社オートネットワーク技術研究所…
平成7年、住友電気工業株式会社と共に、自動車ワイヤーハーネスの総合技術研究機関として設立された研究所

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